インスペクションとは建物状況調査のことですが、法改正されたことで中古住宅取引のときにはホームインスペクションと呼ばれる住宅診断においての説明が義務化されています。
中古住宅の質を向上させて売買を活性化させることを狙った上で宅建業法の一部が改正されたと考えられますが、どのような影響があるのかを確認しておきましょう。
中古住宅でインスペクションが必要とされる理由
新築住宅であれば、柱や基礎など構造の主要な部分、そして雨水の浸入を防止する屋根や外壁部分については10年間保証することが義務付けられています。さらにハウスメーカーや工務店などによっては、仕上げや設備に対して1~2年は保証するとしていることもあるようです。
対する中古住宅の場合、そもそも劣化が始まった状態で販売されることになるので、物件によって経過している年数や劣化の進行具合、これまでの維持管理状況などはバラバラです。
そのため、現在、建物がどのような状態にあって、あと何年住むことができるのか、また、修繕を必要とする部分はないのかということを確認してもらうことになります。
なお、インスペクションを行うことができるのは、国が認めた講習を修了し、さらに「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士です。
インスペクションで行うこと
中古住宅の現況を把握することができる基礎的な現況検査が必要です。
構造上、安全性に問題のある可能性が高いと考えら得る蟻害、腐朽・腐食、傾斜、躯体のひび割れ、欠損などの有無、そして雨漏り、水漏れの有無、給排水管の詰まりや漏れなど設備配管の劣化の有無などを診断するようになっていますが、あくまで目視が可能な範囲に限定されています。
インスペクションで発見できなかった欠陥への備え
もしインスペクションで確認ができなかった部分に重大な欠陥がみつかった場合に備えて、保険金を補修費用に充てることができるように「既存住宅瑕疵保険」への加入を促すことで購入後のトラブルは防ぐことができます。
また、瑕疵保険への加入は、検査機関による診断を受けて品質を満たす建物であることが求められますので、建物の状況が調査される点でも安心です。
インスペクションを実施すること、万一のために瑕疵保険への加入を促すことで、安心して中古住宅を購入できるようにすることが宅建業法改正の背景にあるといえるでしょう。
中古住宅の取引現場の今後に期待?
中古住宅の売買を行う宅地建物取引業者は、これまではあくまでも仲介役としての役割でした。しかし法改正でインスペクションが義務化されたことにより、重要な役割を果たすことになります。
従来よりも中古住宅の売買が活性化されると同時に、物件が引渡されるまで時間がかかるようになると考えられます。今後、中古住宅の取引現場はどのように変わっていくのか注目していきましょう。