2018年 8月 の投稿一覧

親から子に不動産を継承するなら生前贈与と相続のどちらが得?

親が他界する前に、親名義の不動産などの財産を子供名義に変更する手続きを行えば贈与とみなされます。

生前贈与した場合には贈与税の対象となりますが、贈与財産の評価額や贈与する人、贈与を受ける人の年齢次第では大幅な節税効果を得ることができます。

しかし相続のほうが得になるケースもありますので、親から子に対して不動産を継承させる場合、どちらが得になるかトータル的に考えることが大切です。

生前贈与を行うメリットは?

相続の場合、遺言で誰に財産を継承するか決めていても、他の相続人が遺言内容に意義を申し立てることで遺言通りに相続が行われないこともあります。しかし生前贈与の場合、生前に行えば贈与する人の意思が確実に反映されるので、兄弟姉妹同士で相続争いが起きることを避けることに繋がるでしょう。

また、相続になったときの相続税の負担を軽減する方法としても活用できることがありますが、要件次第では効果を得ることができない場合もあるので確認が必要です。

□メリットだけでない点に注意

なお、不動産を贈与した場合には不動産取得税や登録免許税を負担しなければなりません。贈与税は相続税よりも税率が高いので税負担が大きくなります。実際、生前贈与を行ってもそれほど大きな節税にはならない可能性もあるでしょう。

さらに生前贈与の契約が一度成立してしまうと、他の方法には切り替えることができなくなるので、その後、制度改正などで相続税を選択したほうがよかったという場合に不利になる可能性もあります。

トータル的にどちらの負担が重くなるかを比較し、よく検討した上で行うようにしましょう。

□どのようなケースにおいて生前贈与が有効か

生前贈与でメリットがあるのは、将来、評価額が上昇する可能性がある財産の贈与です。贈与税の場合、贈与が成立した時点での財産の評価額に応じて税率が適用されることになります。そのため、後に評価が上昇する可能性があるなら、先に贈与したほうが税負担を軽減できると考えられます。

相続税のほうが得になるケースとは?

相続税の場合でも基礎控除額が設けられており、「3,000万円+600万円×法定相続人数」までは税金が掛かりません。

一般的なマイホームの相続なら、非課税となる範囲でおさまることが多いのも特徴です。さらに不動産を取得しても原因が相続なら不動産取得税は課税されません。

また、65歳以上の親が20歳以上の子に対して贈与する場合には「相続時精算課税制度」の対象となるので、基礎控除額が2,500万円まで設けられます。贈与した人が亡くなったときには贈与した財産も相続財産としてカウントされることになりますが、先に贈与税を支払っている場合には相続税からその分を控除できます。

これらも踏まえた上で生前贈与か相続かを決めることが大切です。

安易に判断しないことが大切

2015年1月に税制改定が実施され、実質、相続税は増税されています。それに伴い、生前贈与への関心も高まっている状況ですが、生前贈与と相続のどちらの節税効果が高いかはそれぞれの状況によって異なりますので安易に判断しない様にしましょう。

不動産を配偶者が相続しても相続税はかからない?

もし、親や万一のことが起きれば、それまで住んでいた不動産を相続することになるでしょう。しかし実際に相続が発生しても、何をすれば良いか分からないという人もいれば、相続税がどのくらい掛かるのか気になるという人もいるでしょう。

しかし、配偶者が相続する場合には多くの場合、相続税は掛かりません。放置して不動産の価値が下がってしまう前に、どのくらい相続税が掛かるのかなど理解した上で相続手続きを行うようにしましょう。

相続税の対象となるのは?

亡くなった人の預貯金や不動産などの財産、そして亡くなる前3年以内に贈与した財産は相続税の対象です。

ただし、非課税財産に該当する部分や葬儀費用などは差し引くことが可能ですし、基礎控除がある点は忘れないようにしましょう。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算されます。

他にも様々な優遇措置が適用される

亡くなった人が残した財産から、非課税財産となる部分の金額、葬儀費用、基礎控除額、そして優遇措置で適用される額を控除して残った分が相続税の対象です。

相続税にはいろいろな優遇措置が設けられていますので、適用させることができるものはないか確認してみましょう。

・配偶者の税額軽減

配偶者が亡くなった人の財産を取得した場合、1億6,000万円、または法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税が掛からない事になっています。

・未成年控除

相続人が未成年の場合、「6万円×(20歳-相続時の年齢)」で計算した額というように、一定額を差し引くことが可能です。

・障害者の税額控除

相続人が85歳未満の障害者であれば、「6万円×満85歳になるまでの年数」というように一定額を差し引くことができます。

・相次相続控除

10年以内に相続が2回発生した場合、2度目には一定額が差し引かれます。

・外国税額控除

相続税を海外で支払った場合には一定額を差し引くことが可能です。

使わない家は有効活用を

相続税が心配という場合でも、配偶者が相続する場合には税金がかからないことが多いですし、相続対象となる不動産を放置していると家は傷み続けてしまいます。

さらに価値も低下していきますし固定資産税を払い続けなければなりませんので、不動産を利用する予定がないから売却などを検討するようにしましょう。

ただし売却や人に貸すという場合でも、相続登記を行わなければ実行できません。相続登記はいつまでに行わなければならないという期限が設けられているわけではありませんが、名義が変わっていないことで様々なデメリットが生じることを理解しておきましょう。

不動産を税金対策に購入する方法は本当に有効?

人生で最も大きな買い物ともいえる不動産の購入ですが、マイホームはやっぱり一戸建てと考える人もいれば、マンションの方がいろいろと安心だと考える人もいるでしょう。

そこで、不動産を税金対策として購入することを考える場合、どのようなメリットがあるのか理解しておくようにしましょう。

居住用住宅と投資用物件はどちらが得?

不動産を自分が住むために購入する場合と、マンションなどを他人に貸す目的で購入する場合があります。自分が住むなら居住用住宅、他人に貸すなら投資用物件を購入することになります。

どちらにも税対策に利用できる制度がありますので、どちらが得というよりは、なぜ購入するのかという目的に応じて購入するようにしましょう。

居住用住宅を購入した場合は住宅ローン控除が使える

居住用住宅を住宅ローン利用で購入する場合、10年に渡り年末のローン残債の1%分を所得税から控除することができます。よく耳にする住宅ローン控除という制度ですが、所得が多くてたくさん所得税を支払っている人によっては有効な節税方法です。

また、所得税が控除しきれなかった分は、翌年の住民税から差し引くことができるので、さらに節税になります。

不動産経営ででた赤字は損益通算で相殺を

投資用物件を購入し、他人に貸すという不動産経営によって赤字が発生した場合には、サラリーマンとして得ている給料と通算して相殺することができます。

これを損益通算といいますが、不動産経営で経費として多く形状できれば赤字になる可能性が出てきますので、税金対策として経費に計上できるものは漏れなくあげていくようにしましょう。

不動産は相続税対策に有効

そして不動産の節税対策として、もっとも生きてくるのは相続税に対してです。亡くなった人が残した財産の大きさによって、その財産にかかる税金の額は異なります。

財産がなるべく小さくなるようにすれば、税金を抑えることができるわけですが、現金ではなく不動産として財産を所有していたほうがその価値を減少させることができます。

□土地の評価

土地の場合、国税庁の定めている路線価を基準に価値を決めますが、その金額のおよそ8割が相続時の土地評価額となることが多いです。

□建物の評価

建物の場合、固定資産税の評価額が基準となりますが、建築費用の5割から6割で評価されることが多くなっています。

さらに、建物を第三者に賃貸するものだとしたら、評価額から3割を差し引くことができます。さらに、亡くなっていた人が住んでいた土地や事業をしていた土地について一定要件を満たせば、評価額を5割または8割まで減額できるという小規模宅地の特例が適用されればさらに評価額を下げることができます。

不動産購入は相続税対策に有効

現金として資産を所有していても、その金額自体に対して税金を計算することになりますが、不動産の場合は評価額を下げた状態に対して税金を計算させることになるので、相続税対策には有効です。

住宅ローン控除や損益通算など、居住用住宅か投資用物件、どちらを購入するかによって利用できる制度も異なりますが、共通して相続税の対策としては有効ですので検討してみてはいかがでしょう。

法改正により中古住宅の売買で義務化された「インスペクション」とは?

インスペクションとは建物状況調査のことですが、法改正されたことで中古住宅取引のときにはホームインスペクションと呼ばれる住宅診断においての説明が義務化されています。

中古住宅の質を向上させて売買を活性化させることを狙った上で宅建業法の一部が改正されたと考えられますが、どのような影響があるのかを確認しておきましょう。

中古住宅でインスペクションが必要とされる理由

新築住宅であれば、柱や基礎など構造の主要な部分、そして雨水の浸入を防止する屋根や外壁部分については10年間保証することが義務付けられています。さらにハウスメーカーや工務店などによっては、仕上げや設備に対して1~2年は保証するとしていることもあるようです。

対する中古住宅の場合、そもそも劣化が始まった状態で販売されることになるので、物件によって経過している年数や劣化の進行具合、これまでの維持管理状況などはバラバラです。

そのため、現在、建物がどのような状態にあって、あと何年住むことができるのか、また、修繕を必要とする部分はないのかということを確認してもらうことになります。

なお、インスペクションを行うことができるのは、国が認めた講習を修了し、さらに「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士です。

インスペクションで行うこと

中古住宅の現況を把握することができる基礎的な現況検査が必要です。

構造上、安全性に問題のある可能性が高いと考えら得る蟻害、腐朽・腐食、傾斜、躯体のひび割れ、欠損などの有無、そして雨漏り、水漏れの有無、給排水管の詰まりや漏れなど設備配管の劣化の有無などを診断するようになっていますが、あくまで目視が可能な範囲に限定されています。

インスペクションで発見できなかった欠陥への備え

もしインスペクションで確認ができなかった部分に重大な欠陥がみつかった場合に備えて、保険金を補修費用に充てることができるように「既存住宅瑕疵保険」への加入を促すことで購入後のトラブルは防ぐことができます。

また、瑕疵保険への加入は、検査機関による診断を受けて品質を満たす建物であることが求められますので、建物の状況が調査される点でも安心です。

インスペクションを実施すること、万一のために瑕疵保険への加入を促すことで、安心して中古住宅を購入できるようにすることが宅建業法改正の背景にあるといえるでしょう。

中古住宅の取引現場の今後に期待?

中古住宅の売買を行う宅地建物取引業者は、これまではあくまでも仲介役としての役割でした。しかし法改正でインスペクションが義務化されたことにより、重要な役割を果たすことになります。

従来よりも中古住宅の売買が活性化されると同時に、物件が引渡されるまで時間がかかるようになると考えられます。今後、中古住宅の取引現場はどのように変わっていくのか注目していきましょう。

新しく始まったオンラインでの重要事項説明「IT重説」のルールとは?

2017年10月から、賃貸借契約を成立させるまでに行う必要がある宅地建物取引士の重要事項について、直接対面せずにビデオ通話などを通じて行う「IT重説」が認められるようになりました。

従来までは、宅地建物取引士によって、必ず借主と対面で行わなければならなかった重要事項説明ですが、オンラインシステムなどを使って非対面での説明を行うことができます。

これにより、不動産会社で入居申し込みを行ったけれど当日入居審査が終わらなかった場合など、再び不動産会社に足を運ぶことなく契約を完了させることができるので、忙しくて時間が取れないという人にはかなり便利になるといえるでしょう。

重要事項説明とは?

賃貸借契約を締結するために、宅地建物取引士が重要事項説明書を交付し、賃貸借契約が成立するまでの間に重要事項について行う説明のことです。

IT重説のルールに注意!

なお、IT重説にはいろいろなルールが規定されています。

例えば広告アピールの材料として、IT重説登録事業者である旨を事業者の広告に示すことは問題ないとされていますが、IT重説を理由にお金や景品を提供したり、手数料減額といった経済的利益を提供してはならないとされています。もしこのような対応が宅地建物取引業者からあった場合、違法行為ですので注意してください。

また、ガイドラインに基づかない方法で実施した場合には、重要事項説明に該当しないとみなされますので宅地業法違反になります。

どのような方法で実施されるべきなのか、国土交通省の「IT重要事項説明ガイドライン」などを参考に確認しておくと安心です。

参考:国土交通省「IT重要事項説明ガイドライン」
http://www.mlit.go.jp/common/001186915.pdf

手間や時間を省くことができる

IT重説は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどからビデオ通話を用いて重要事項説明を受けることができます。これまで不動産会社に足を運んだ上で行わなければならなかった契約までの流れの一部を、わざわざ時間をかけて訪問することなく完了させることができます。

ただし、IT重説が可能なのは、賃貸借契約における借主に対する重要事項説明に限られています。さらに、個人が契約当事者となる売買取引については、検討課題として残されたままです。

今後はIT重説の導入が増える可能性大

IT重説が解禁になったからといって、絶対にIT重説でなければならないわけではありませんが、IT重説ができる宅地建物取引業者とそうでない宅地建物取引業者ではどちらが便利かいうまでもありません。

今後、宅地建物取引業者は他社との差別化を図るため積極的に取り組んでいくことも予測されますので、ますます部屋探しが便利に行えるようになるでしょう。